1990年-2017年のミュージカル映画(97本)

点数(10点満点)『映画タイトル』(制作年/制作国)監督名
(ほぼ全てネタバレをしているのでご了承ください。)

2.0『ディックトレイシー』(1990/米)ウォーレン・ベイティ

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 暗黒街に興味が出ない
 原作は同名のコミック。1930年代の米国の暗黒街が舞台だが、ギャングがそもそも魅力的だと私は思わないので彼らの犯罪行為を見ていても楽しくない。
 ギャングの女である歌姫(マドンナ)が、刑事ディックトレイシー(ウォーレン・ベイティ)に片思いをするのは『黒蜥蜴』を彷彿とさせるが、女が死んでしまうのは可哀想に思った。


8.5『美女と野獣』(1991/米)ゲーリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ

 美女と野獣』で一番面白い
 野獣と対面しても言葉で張り合えるベルの強さは格好いいし、野獣の片思いも面白い。終盤で巻き起こる、城に攻めてきた人間たちと家財道具との闘いは、ディズニーアニメの戦闘シーンの中でも特に面白いと思った。男に羽をむしられる女の箒もエロい。この映画は原作小説(ガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ著)を楽しく脚色しているといえるし、1945年のフランス映画『美女と野獣』(ジャン・コクトー監督)や2017年の実写版より面白い。
 ところで、『美女と野獣』はディズニー長編アニメとして初めて女性脚本家を起用したことで知られる(藤えりか『なぜメリル・ストリープはトランプに噛みつき、オリバー・ストーンは期待するのか』幻冬舎新書、p111)。


9.5『アラジン』(1992/米)ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ

 ディズニーアニメの傑作
 下層の生れと王族の生れが上手く対比されており、身分制への問題提起がなされているなど結構深い。悪役ジェファーがアラジンのことを「素性卑しいペテン師」「ドブネズミ」と言うのは印象的である。また、ジャスミンは黒髪で頭が良いので、ディズニーのヒロインとしては私は一番好きである。終盤でも、アラジンを助けるためにジェファーに惚れたふりをするなど機転が利くし健気である。ディズニーアニメ最高峰の傑作だと思う。
 ただランプの精ジーニーのギャグは、ショウガールだのキャビンアテンダントだの時代背景を無視していて、笑えないし冷めてしまった。そこだけ減点。


1.5『ニュージーズ』(1992/米)ケニー・オルテガ

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 少年愛に興味がある人向け
 19世紀末のニューヨークで、新聞販売少年たちが戯れるホモソーシャルな映像が続き、開始20分まで主要な女性キャラが出てこない。私には少年愛の傾向が皆無なので入り込めない。主人公ジャックは不良少年で、かつ販売員仲間デイヴィッドの妹とすぐ相思相愛になるなど呆れてしまう。
 物語のラストでは、少年たちはストライキを成功させハッピーエンドになるが、むしろそれからの少年たちの生活が心配になる。多少賃金がアップしたくらいでは、彼らが貧しい階級から抜け出すことは難しいからである。


1.0『天使にラブ・ソングを…』(1992/米)エミール・アルドリーノ

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 人殺しのヤクザを許していいのか
 人殺しのヤクザに追われるウーピー・ゴールドバーグ修道院に身を隠したことをきっかけに、シスター達のあいだで保守的な宗教観とリベラルな宗教観が対立する話だが、そもそも宗教に興味が無い私にとっては無意味な対立である。終盤、シスターに感化されたウーピーがヤクザに「あなたを許します」というが、ヤクザに殺された人のことを考えたら許しちゃだめだろう。宗教における寛容の欺瞞である。


0.5『サラフィナ!』(1992/南アフリカ)ダレル・ジェームズ・ルート

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 白人を悪く描けば良いということではない
 同名の反アパルトヘイト・ミュージカルの映画化だが、黒人たちが神を賛美する歌を歌うばかりで無宗教の私には興味を惹かれない。「神が地上で初めて作った人間の肌の色は?何色か聖書には書いてないのよ」と歌うが、宗教を用いて差別を乗り越えようとするのには限界がある。
 また、警察が学校で生徒たちに発砲し多数の死者を出すなど、白人の悪さを強調するシーンがあるが、白人への無意味な憎悪をいたずらに煽っても新たな戦争が勃発するだけなので意味がないだろう。


4.0『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993/米)ヘンリー・セリック

 世界観を生かすプロットではない
 女の子サリーもかわいいし世界観も面白いが、それを生かすプロットではない。主人公ジャックとサリーのドラマや恋愛が出てくると期待したが、そういう描写はほとんど無く、登場人物達は怪物流のクリスマスを行うための準備ばかりしている。終盤で人間世界にやってくるのはジャックだけなのも物足りない。サリーも一緒に行けば二人の仲も深まるのに、そういうこともなく、それでいて最後はお互い結ばれるので制作側はちゃんと考えろと思った。


3.0『ヤジャマン 踊るマハラジャ2』(1993/印)R.V.ウダヤクマール

ヤジャマン 踊るマハラジャ2

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 生れが良いことに起因する余裕
 みんなに慕われる旦那様(=ヤジャマン)のラジニーカントと、悪党が対決する話で、ラジニーカントの妻が毒を盛られ殺されるなど陰惨な展開もあるが、人間に迫るような胸を打つシーンは少ない。生れの良いラジニーカントは「人格者だ」「人道主義者だ」と庶民に尊ばれているが、だったら生れで徹底的に差別されるカースト社会をどうにかしてほしい。自分の生れが良いことに起因する余裕が人道的に見えるだけだろう。
 ちなみに「踊るマハラジャ2」という副題だが、『ムトゥ 踊るマハラジャ』とは関係ない。しかも『ムトゥ』は『ヤジャマン』の2年後の映画(1995年製作)なので謎である。


2.0『ザッツ・エンターテイメント3』(1994/米)バド・フリージェン、マイケル・J・シェリダン

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 マニア向け
 『ザッツ・エンターテイメント2』(1976年)の続編で、マニア向け。


1.5『ライオン・キング』(1994/米)ロジャー・アラーズ、ロブ・ミンコフ

 シンバの成長が描かれていない
 私は身分制に反対なので、冒頭で動物たちが王のライオンに恭しく頭を下げているのがまず気味が悪いと思った。中盤で子ライオンのシンバは砂漠に追放されるが、ミアーキャットらに救出された後いつの間にか大人に成長しており、それまで砂漠をどう生き抜いたかというエピソードが省かれているのはおかしいし物語の魅力が半減している。


4.0『バーシャ!踊る夕陽のビッグ・ボス』(1994/印)スレーシュ・クリシュナ

バーシャ!?踊る夕陽のビッグボス?【字幕版】 [VHS]

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 警察官の弟との対立は面白い
 元「密輸王」ラジニーカントがヤクザをやっつける話だが、昔はラジニーカントも悪かったのであり、現在どれだけラジニーカントが心を入れ替えているのか不明瞭である。事実、ラジニーカントは自らの過去を盾に、妹を大学に入学させるなど不正行為をする。
 ただ、警察官になった弟と対立していく展開はドラマがあり面白かった。


1.5『ボンベイ』(1995/印)マニ・ラトナム

 では、無神論者は?
 宗教対立のむなしさを描いており、劇中の「宗教という名の狂気は捨てて」という歌詞だけ見れば賛同できる。しかし、描かれるのはヒンドゥーイスラームの対立・融和の問題であり、無神論者はどうなんだ、仲良くしなくていいのかという問題からは逃げている。
 あと、主人公の男が周囲の反対を押し切って女性との愛を誓うとき、彼女の腕を強引につかんで刃物で切り、自分の傷口と合わせる場面は気持が悪くてひいた。同意もなく女の腕を傷つけるという前近代的な蛮行は全く美しくなく、反省させた方が良い。


9.0『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995/印)K.S. ラヴィクマール

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 真面目なテーマと娯楽性が融合した傑作
 使用人には謝らないという大旦那が出てくるなど、身分制をめぐる真面目なテーマから逃げずに物語が作られていて、かつ曲やギャグ・カット割りに至るまで、観客を飽きさせない工夫が凝らされているので傑作である。また、掃き掃除をしていて両手がふさがっている男の足の甲を女が裸足でなでるなど、エロティックな場面でも興奮できる。
 ただ、実は使用人のムトゥは高貴な生まれだったというのは、『オリバー・トゥイスト』と同様可も不可も無いオチでガッカリした。


1.0『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996/米)ウディ・アレン

 群像劇の失敗作
 登場人物が多すぎてそれぞれの人物像が描けていないので、失敗作である。恋愛もすぐ相思相愛になってキスをしてセックスをしてお前ら何なんだ。何となくレトロな雰囲気であるのも寒い。


1.0『エビータ』(1996/米)アラン・パーカー

エビータ [DVD]

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 エビータを必要以上に悪く描いている
 アルゼンチンの大統領フアン・ペロンの妻エバ・ペロン(通称エビータ、役;マドンナ)を批判的に描いた伝記映画で、2時間ぶっ通しで「チェ」という狂言回しがエビータをディスるので観るのが辛い。もちろんエビータを個人崇拝する必要は無いが、映画では必要以上に彼女のことを悪く描いていると思う。私は彼女の伝記『エビータ』(ジョン・バーンズ著、新潮文庫)も読んだが、エビータは女性の地位向上のために闘い(同上、p185)、貧民のために医療機関などを建設する(同上、p191)など一応社会貢献はしているのである。伝記映画を作るのならイデオロギーに偏ることなく、客観的事実をふまえて誠意をもって製作してほしい。
 また、劇中で使われている曲はポップ・ミュージックにしてはキャッチーでもないし良さが分からなかった。


9.0『ノートルダムの鐘』(1996/米)トルースデール、ワイズ

 醜い主人公の片思いは泣ける
 原作小説(ユゴー著『ノートル=ダム・ド・パリ』)では詩人が主人公だが、映画では醜いカジモドが主人公になっていて見やすく、エンターテインメント性が増しており成功している。容姿による地位の違いやモテるモテないなど社会的な現実的がちゃんと落とし込まれていて、自己評価の低いカジモドがジプシー女エスメラルダに片思いをして夜な夜な想うシーンでは感動した。
 もっとも、宗教や教会の良心が描かれるのみで宗教の偽善には触れられず、政治権力者が一方的に悪者になっているのは幼稚ではあるが。


5.0『ジャイアント・ピーチ』(1996/米)ヘンリー・セリック

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 原作よりは面白い
 実写とアニメパートに別れる。少年と巨大化した虫たちとの友情が描かれるが、蜘蛛の女は捕食者であるためか他の虫たちからは嫌われているのは面白い。リアルな虫の関係性が生かされた設定になっている。原作小説(ロアルド・ダール『おばけ桃が行く』)より映画の方が面白い。
 しかし一方で、サメがやたらメカニックな造形をしているなど世界観が掴めない。虫の造形もなんだか奇抜なのに、最終的に彼らが人間生活に馴染んで社会的に成功するというオチも、ファンタジーとはいえ違和感がある。


2.0『アナスタシア』(1996/米)ブルース 、ゴールドマン

 『追想』(1956年)の方が面白い
 ディズニー長編アニメ。ロシア革命勃発時、アナスタシアは王族と離ればなれになり幼い頃の記憶を無くすが、少しずつ自分を取り戻していく話である。が、初めから観客はアナスタシアが王女であるというオチが分かっているのだから、もっとうまく面白く物語を引っ張らなければならない。王制への憧れや反動だけでなんとなく映画を作っただけに思える。私としては、リメイク元の『追想』(アナトール・リトヴァグ監督、1956年)の方が面白い。こちらでは、アナスタシア王女(役;イングリッド・バーグマン)が自らの貴族という身分を最終的に捨てるように読めるからである。
 ちなみに、皇帝ニコライ二世の一家七名は銃殺され、遺体は焼却されたので(土肥恒之『ロシア・ロマノフ王朝の大地』講談社学術文庫、p318)、アナスタシアのような少女が生き残っていると考えるのは空想である。


0.5『レズパラ』(1996/米)ジェフ・B・ハーモン

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 不快なだけ
 レズとかゲイを扱うブラックな映画だが、宗教色や米国の田舎色が強くてギャグの元ネタが何なのかピンとこない。人間を描こうとせず、わざと趣味悪く下品に作られていて不快なだけである。こういうのはカウンターとは言わない。


8.0『アルナーチャラム 踊るスーパースター』(1997/印)スンダル・シー

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 恋愛描写以外は面白い
 序盤で、ラジニーカントと女が相思相愛になる展開は馬鹿馬鹿しいが、身分の違いや都市と田舎の対比などがしっかりと描かれていて引き込まれる。悪人に財産を横取りされる前に莫大な財産を使い切る、という展開もエンターテインメントとして面白い。終盤でラジニーカントが悪人と対決する前に吐く「言えば分かる奴もいれば 分からん奴もいる お前たちは後の方らしい」という台詞も格好良かった。


1.0『ブルース・ブラザース2000』(1998/米)ジョン・ランディス

 前作と変わらない
 前作の『ブルース・ブラザース』(1980年)同様、主人公がバンドを結成するためにかつてのメンバーを集めるという展開で捻りがない。牧師のジェームス・ブラウンの説教によって「神の声を理解した」と悟った警官が空を飛べるようになったり、「エル・ウッドのおかげで神に近づいた」と劇中で歌われるなどオカルト要素も引き続き多く共感できなかった。
 ただ個人的にエリカ・バドゥの歌は好きなので最低点は避けておく。


0.5『ジャンヌと素敵な男の子』(1998/仏)オリビエ・デュカステル 、ジャック・マルティノー

 ゴムを付けろ
 人々が誰彼構わずセックスしてエイズになる。主人公のジャンヌも「これは私の宿命」と勝手に悲しみに浸るが、ちゃんとコンドームをつければいいのであり、全く同情できない。ミュージカルに仕立てた意味も分からない。


8.5『ミモラ 心のままに』(1999/印)サンジャイ・リーラー・バンサーリー

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 オチが良ければ大傑作
 イタリア人とのハーフの男サミルとナンディニの許されぬ恋は、恋愛ものとして楽しめるし、家柄の問題など社会問題もしっかり絡んでいる。結局ナンディニは好きでもない男と結婚するが、サミルのことが忘れられず、彼を探しに夫とともにイタリアに旅立つ。その時の夫の複雑な感情や嫉妬心が巧みに表現されていて、息をのんだ。
 しかし、オチでは「献身こそが真の愛」という反動的なものに成り下がり、社会問題がすべて宙ぶらりんになったのでガッカリしたし、全体的にイタリア人(白人)を誇張して悪く描きすぎているのでそこもフェアでは無いと思った。オチが良ければ大傑作だったのだが。


2.0『恋の骨折り損』(1999/英・米)ケネス・ブラナー

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 よく分からない
 王や王に仕える貴族が、学問に専念するために女を絶つが、結局男達は女のことしか考えられないという様は、女性を人生において意味のあるものとして捉えていて女性嫌悪ではないから良い。ただ、物語はほとんど無いし登場人物が多く散漫なので、シェイクスピアの原作戯曲同様、何が言いたいのか分からない。


1.0『王様と私』(1999/米)リチャード・リッチ

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 なぜリメイクしたのか謎
 ワーナーブラザーズの長篇アニメ。タイの王様が、悪い王様ではなく良い王様になるように英国の家庭教師が諭していくが、王制そのものは批判されない。1956年版の『王様と私』とは違い、王は死なず家庭教師と結婚した風に読めるオチだが、ふたりの間にはそんなに恋愛描写も無いのでドラマも感じない。なぜリメイクしたのか謎である。


1.0『パダヤッパ いつでも俺はマジだぜ!』(1999/印)K.S.ラヴィクマール

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 前近代的な教訓がうるさい
 村の掟に従わなければ罰が当たる、死人が風を起こして書類の契約を邪魔する、私生児の男が悪者役であるなど、前近代的な価値観の肯定が強い。主人公のラジニーカントは一度に二人の美女に惚れられるのがムカつくし、エロい格好をした女にはズバズバ注意をするなどうるさい。曲の歌詞も、女性に対する教訓的なメッセージが多く退屈だった。


0.5『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000/デンマーク・独)ラス・フォン・トリアー

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 見所なし
 主人公のビョークは目が不自由だが、他人の「目が見えないのか」という問いかけに「見るべきものがある?」と答えるなど、生きる気力を序盤から無くしており感情移入できない。その後も、ビョークが重傷の人間にとどめを刺したりするのも意味不明だし、法廷で全く反論しないのもおかしい。結局ビョークは無実のまま死刑になるので、この映画には「死刑は酷い」という死刑反対の主張が込められているのだろうが、こんなケースを持ち出して死刑廃止を訴えるのは極論で、宅間守のように無実の人間を殺し一切反省しないような人間は死刑になってもやむを得ないのだ。見所が一切ない映画である。


4.0『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001/米)ジョン・キャメロン・ミッチェル

 宗教への批判が足りない
 監督自身がゲイのミュージシャンを演じている。あまり美人には見えないが、本人もゲイなのでキャラクターの感情が生々しく引き込まれるところはある。
 ただ、主人公が東ドイツ出身という設定が必要だとは思えない。自分の片割れを探すという比喩のために「ベルリンの壁」という言葉を使っているが、なんとなく社会問題を取り入れただけなように思える。同性愛への差別に反抗する歌が歌われるが、その割に宗教用語を歌詞で肯定的に使っているのも腑に落ちない。同性愛はすべての宗教で迫害されているので、宗教への批判的視点がないとたいした問題提起にならないだろう。


1.0『プラハ!』(2001/チェコ)フィリプ・レンチ

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 簡単にセックスをしている
 1968年のプラハの春の時代が舞台で、わざとらしくレトロな雰囲気にしているが寒くなっている。登場人物達の恋愛も一目惚れによる相思相愛なだけで捻りがなく、簡単にセックスをしていて腹が立った。


0.5『ムーラン・ルージュ』(2001/米)バズ・ラーマン

 馬鹿にされている
 1900年ごろのパリが舞台なのに、画家のロートレックを始めとした登場人物が「サウンド・オブ・ミュージック」や現代のロック・ポップスを歌いまくるので馬鹿にされている気分になった。だったら舞台設定を現代にすればいいのに。映像がめまぐるしく展開するが物語を読ませる工夫はなく、ミュージックビデオを延々と見せられているだけであった。

0.5『サウスパーク 無修正映画版』(2001/米)トレイ・パーカー

 表現の自由の勘違い
 捻りもなく無駄に下品な言葉を使っているだけで、こういうのが表現の自由だと思ったら大間違いだろう。また宗教ネタが多く私にはどうでもいい。


4.0『8人の女たち』(2002/仏)フランソワ・オゾン

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 ミュージカルにする必要がない
 「八人の女」(ロベール・トマ著)という、ある殺人事件をめぐる戯曲をわりと忠実に映画化しているが、まずはとにかく、ミュージカルにする必要が全くなかったと言わねばならない。サスペンスの緊張感が登場人物の歌によっていちいち中断され空気をぶちこわしている。普通のサスペンス映画として作った方がよっぽど良かっただろう。
 もっとも、疑心暗鬼になった意地悪な女達の小競り合いがそんなに面白いか疑問だが。


4.0『STOMPの愛しの掃除機』(2002/米)リューク・クレスウェル 、スティーブ・マクニコラス

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 物語はちゃんとしている
 ライバル会社の掃除機の情報を知るためにスパイとして送り込まれた従業員が主人公で、わりと物語はちゃんとしているが、ライバル会社の美女と一目で惹かれるなど恋愛の展開は適当である。また、ライバル会社にしょうもないイタズラや嫌がらせを行ったり、酒の一気飲み大会になったりとレベルの低いやりとりが多かった。


1.5『クリビアにお任せ!』(2002/蘭)ピーター・クラマー

 タイプではない
 まず看護士クリビア役の女性がかなりおばさんで、ここで好き嫌いが分かれるのではないか。私はタイプではない顔だった。コメディ映画だがギャグも笑えなかった。
 ところで、ラストで「ようこそベアトリクス妃」と王族を歓迎するシーンが流れるのが不可解である。何らかの政治的な立場を表明していたのだろうか。


3.0『恋に唄えば♪』(2002/日)金子修介

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 優香への片思いは面白い
 間抜けな妖精の竹中直人が優香に片思いするのは面白いが、ダサいCGに相まってギャグがことごとく寒い。優香の彼氏である玉山鉄二が真相を隠して別れ話を切り出したりと、ストーリー展開にも違和感がある。


6.0『キャンプ!』(2003/米)トッド・グラフ

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 もっと面白く出来そうだが
 ブロードウェイを目指す若者たちのサマーキャンプが舞台で、登場人物の感情を丁寧に描写しているし、ミュージカル業界の裏側のどうしようもなさを美化せず描いている。
 ただ、主人公の男は本当は恋人がいるのに、すぐにブスな女とキスをしてその気にさせるなど酷い。さらにこの男は黒人の少女ともキスをするのだからムカつく。憎めない登場人物であれば、もっと面白いドラマになっていただけに残念。


0.5『歌う大捜査線』(2003/米)キース・ゴードン

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 陰鬱で楽しくない
 皮膚病によりグロテスクな見た目になった男が主人公で、『オール・ザット・ジャズ』のような陰鬱な雰囲気で楽しくない。奥さんが浮気して病気の夫を裏切るなど、「愛を裏切るのは女のほう」という女性蔑視の構図そのままで不愉快である。


5.0『巴里の恋愛協奏曲』(2003/仏)アラン・レネ

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 処女じゃなくても良いだろ
 夫は妻が処女の時に結婚したと信じているので、妻は夫を傷つけないように最初の夫の存在を隠している、というコメディ調の映画。だが、別に結婚してても処女じゃなくても良いではないか。私は処女だろうが処女じゃなかろうがどうでもいいので、この映画のテーマにそもそも共感できない。この夫は「女は最初に抱いた男の者だ」「その女には男の刻印が押されている」などと発言するが、気味が悪い。
 ただまあ、妻役のサビーヌ・アゼマは色気があるし、彼女が男達の求愛をかわしていく様は面白い。


6.0『オペラ座の怪人』(2004/米)ジョエル・シューマカー

 つまらなくはない
 つまらなくはないし、原作小説(ガストン・ルルー著)を読むよりは楽しめると思うが、ホラーっぽい演出が多く間延びしていて、人間模様がなかなか描かれないのが惜しい。あと、クリスティーヌ目線のシーンもあっていいのではないかと思った。


4.0『Ray/レイ』(2004/米)テイラー・ハックフォード

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 そんなに面白い人生かは疑問
 回想シーンなどを効果的に使い主人公の人間性を浮かび上がらせている。が、ドラッグに溺れ、女にモテモテで浮気をするレイ・チャールズの人生がそもそも面白いとは思えなかった。また、レイが人生の道を誤る度に母親の思い出がフラッシュバックされて彼は正気になるなど、マザコンの傾向が強い。もちろん、マザコンが即悪いと言うことでは無いが、大の大人になったレイ・チャールズが母親に「カモン・ベイビー」と呼ばれて腕に抱かれる空想のシーンは少々気味が悪かった。


1.0『五線譜のラブレター』(2004/米・英)アーウィン・ウィンクラー

 二度も映画化する人物か
 作曲家コール・ポーターの人生を、コール・ポーターの目の前で劇中劇のように見せるというメタフィクション的な映画で、演出家がキャラクターに指示を出すという構図は『ラ・マンチャの男』にも似ているが、回想シーンと現在とが何度も往復して気が散るので失敗作である。同じくポーターの伝記映画である『夜も昼も』(1946年)では彼がバイセクシャルであることが隠されていたが、こちらではちゃんと描かれている。しかし、だからといって私には興味が出ない人物だとしか言えない。二度も映画化するほどの人物だろうか。


1.0『ビヨンド the シー 夢見るように歌えば』(2004/米)ケビン・スペイシー

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 思い出を好きにしていいのか
 50年代から60年代に活躍したエンターテイナー、ボビー・ダーリンの伝記映画だが、見ず知らずの少年がなぜか本人の過去を知っているというファンタジー要素がある。また、ボビーは「思い出は月光のようなもの 好きにしていい」と、まるで伝記作品では何をやってもいいように受け取れる発言をするが、思い出だとしても嘘をつかず誠実に向き合ったほうがいい。まあ、嘘だろうが本当だろうがこの映画に見どころはなかったが。


0.5『ニール・ヤング/グリーンデイル』(2004/米)ニール・ヤング

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 ニール・ヤングの曲を歌うだけ
 登場人物がニール・ヤングのアルバム『グリーンデイル』の曲を歌うが、それだけである。物語では、車にコカインとマリファナを大量に積んでいたジェドという男が衝動的に警官を射殺するが、観客はなぜかこのヤク中に同情するように仕向けられるので全く共感できない。ザ・フーのアルバムを映画化したケン・ラッセルの『トミー』の方がまだ面白い。


5.0『ヘンダーソン夫人の贈り物』(2005/英)スティーヴン・フリアーズ

 夫人独自の魅力が足りない
 70になるヘンダーソン夫人は、かつて自分の息子が戦争で死んだ。その際、息子は生身の女を知らぬままエロ写真を持って死んだので、これからの兵隊のためにとヌードレヴューを経営しようと思い立つという動機は面白い。ただ、結局のところヘンダーソン夫人は息子思いの母親であり、一人の人間としてのオリジナルの魅力は伝わってこなかった。また、ショウガールと兵隊の恋もすぐ相思相愛になり物足りず、戦争によって引き裂かれたところで「へえ」と思うだけで、ドラマを感じさせる演出が足りなかった。


1.5『オペレッタ狸御殿』(2005/日)鈴木清順

 昔のシリーズを踏襲しているだけ
 由紀さおりが歌う「びるぜんばばあ」という曲は笑ったが、基本的に昔の狸御殿シリーズを踏襲しているだけで退屈である。


0.5『RENT』(2005/米)クリス・コロンバス

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 ゴムをつけろ
 出てくる登場人物がみんなセックスによるエイズにかかっていて馬鹿馬鹿しく、ゴムをつけろと思った。ラストでエイズにより死線をさまよっているミミが、「柔らかな光の中を歩いていたらエンジェルに会った」と発言するなどオカルト的な世界観も強い。


7.5『チャーリーとチョコレート工場』(2005/米)ティム・バートン

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 チョコレート工場はこれ
 ジョニー・デップ演ずる工場主ワンカのバックグラウンドがしっかり描かれていたりと、原作小説(ロアルド・ダール著)や1971年版の映画(『夢のチョコレート工場』)よりもクオリティが高く面白いので、チョコレート工場はこれを見ればいい。



1.0『プロデューサーズ』(2005/米)スーザン・ストローマン

 ホモ映画
 1968年版(メル・ブルックス監督)同様つまらない。とりあえずナチスを出せばブラックユーモアになるという短絡的な思考が寒い。この映画には外見がオッサンのゲイがたくさん出てくる一方で、女性が軽視され女優にほとんど出番がない。法廷でプロデューサーと会計士が見せる友情も同性愛の表現にしか見えない。女性にしか興味がない私は、しばしば観ていてキツくなった。ちなみに監督のスーザン・ストローマンは女性。


8.0『ティム・バートンのコープス・ブライド』(2005/米)、ティム・バートン

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 ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』より面白い
 死んでいる女エミリーを始めキャラクター造形がかわいいし、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993年)に比べると登場人物を中心として物語が紡がれていくので引き込まれる。ただ主人公ビクターの花嫁ビクトリアが監禁されたりして出番が少ないのでそこは物足りない。


1.0『キンキー・ブーツ』(2005/米・英)ジュリアン・ジャロルド

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 実話だろうが興味がないものはない
 靴製造工場の若き社長チャーリーが、経営を立て直すためにドラァグクイーンのためのブーツを製造することにする話で、実話を元にしているという。が、私は異性愛者なのでこの時点で映画への興味がなくなっている。しかも、ドラァグクイーン役の黒人がとくに美人ではないので見るのがキツかった。また、チャーリーの妻が夫の仕事に理解を示さないなど、女性を悪役として描いていて嫌だった。


5.0『ドリーム・ガールズ』(2006/米)ビル・コンドン

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 メンバー間の対立が幼稚
 女性3人組の歌手の成長物語で、つまらなくはないが、中途半端に伝記的な作品である。実在の人物をしっかり掘り下げるか架空の人物を綿密に作り上げるかどちらかに振り切ってほしい。また、女性メンバーの喧嘩の原因が、「私をメインにして」とか「私の男と寝たんじゃないの」とか幼稚すぎるので、もっと深いところで対立してほしかった。


1.0『嫌われ松子の一生』(2006/日)中島哲也

 女性をひどい目に遭わせて楽しいのか
 原作小説(山田宗樹著)も酷いが、映画のほうが僅かにマシであるように思う。しかし、地味で真面目な少女だった松子(役;中谷美紀)がソープ嬢に落ちたり人を殺したりするのは全くリアリティを欠いていて冷める。ヤクザの伊勢谷友介が聖書を読んで改心するなどオカルト色も強くて気味が悪い。また、物語の冒頭で松子の死体が発見された時、一体誰が殺したのかというサスペンス調の筋だったはずなのに、かなりがっかりするオチである。こういう、特に理由もなく女性をひどい目に遭わせる作品を作って楽しいのだろうか。


8.5『ハッピー・フィート』(2006/豪・米)ジョージ・ミラー

 中盤まで大傑作
 歌が下手なペンギンとして生まれてきたマンブルは周囲に白い目で見られ、成長しても全くモテないなど、やるせないペンギンの感情が丁寧に描写されていて泣ける。そんなマンブルの武器はダンスで、歌えない代わりにダンスで雌にアピールしたりして何とか生きていこうとする姿は感動的である。しかし、後半ではペンギンと人間の接触がメインとなり、恋愛の問題が二次的になるのは残念だった。映画のテーマが二つになって散らかってしまい、途中まで傑作だっただけに残念だった。
 ところで人間たちはペンギンのために海の一部を「禁漁区とする」と取り決めるが、リアリティのない環境保護的なメッセージに違和感を覚えた。監督の出身国がオーストラリアであることと関係があるのかもしれない。


1.0『ハイスクール・ミュージカル』(2006/米)ケニー・オルテガ

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 モテ男が何でもうまくいくバカ映画
 イケメンの主人公が「歌なんて歌えない」と言いながらめちゃめちゃ巧いという寒気のするシーンからはじまる。このイケメンは女にモテるし、バスケのキャプテンとして大会で優勝するし、歌のコンテストでも優勝するしで、この人間どこに魅力があるんだと思った。ディズニーが企画したテレビ映画だがディズニーがこんなのを企画しちゃダメだろ。


1.0『魔笛』(2007/英・仏)ケネス・ブラナー

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 ずっとスベってる
 第一次世界大戦を舞台にしているのにメルヘンチックなギャグばかりで全然胸に響いてこない。ファンタジーのような荒唐無稽な展開がいちいちスベっている。また、女の天使は嘘つきなので少年の天使を信用しないといけなかったり、悪役が女王だったりと、女性嫌悪なところも嫌である。


6.0『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007/米)ティム・バートン

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 グロさを優先させ人間を描いていない
 つまらなくはないが、いつしか無差別に人を殺していく主人公にはまったく感情移入できないし、映像としてのグロテスクさを優先させて人間を描くことを怠っているので評価しようと思えない。主人公が気にかけていた娘についても、双方がちゃんと再会し対話するでもなく中途半端のまま終わりガッカリした。


1.0『アクロス・ザ・ユニバース』(2007/米)ジュリー・テイモア

 60年代を回顧してるだけ
 ビートルズの曲で構成されたミュージカル映画だが、だからどうしたという感じで、60年代を経験した大人が過去をふり返ってるようにしか思えない。あと、男友達同士で遊ぶシーンがよく出てくるが、女性監督の趣味が出ているのだろう。私には共感できない。


1.5『ヘアスプレー』(2007/米)アダム・シャンクマン

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 太った女性が好きな人向け
 なぜかジョン・トラボルタが特殊メイクで巨体の母親を演じているが、気味が悪い。主人公の女の子は米国映画には珍しく太っていて背が低いが、私はデブ専ではないので性的に興味が出ない。太った女性が好きな人向けか。ところで、女性番組プロデューサーが人種差別をしたり自分の娘を目立たせたりと悪者役だが、悪い男がほとんど出てこないので嫌だった。


6.5『魔法にかけられて』(2007/米)ケヴィン・リマ

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 ヤケクソな設定だが意外性がある
 お姫様と王子が現代にタイムスリップしてくる話だが、タイムスリップ前の設定がやけくそである。そもそもいつの時代の姫なのかよく分からないので、現代にやってきたところでギャップの面白さが感じられない。もっとも、姫が王子ではなく一般人と結婚するという展開はディズニーにしては意外で面白い。


0.5『ハイスクール・ミュージカル2』(2007/米)ケニー・オルテガ

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 大人が見るに堪えない
 女子たちがモテ男を中心に動いていくという構図は前作(『ハイスクール・ミュージカル』2006年)と変わらない。キャラクターの人間性や性格を丁寧に描写することが出来ておらず、とにかくカップルの仲をシャーペイという女子生徒が裂こうとするだけで大人が見るに堪えない。


0.5『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』(2008/米)ケニー・オルテガ

 苛め映画
 『ハイスクール・ミュージカル』の劇場版。主人公のイケメンが更衣室で新入生の着替えを持ち逃げするが、体育会系による苛めである。苛めっ子が感情移入して楽しむ映画なのだろう。


1.5『マンマ・ミーア!』(2008/米)フィリダ・ロイド

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 DNA鑑定をしろ
 若いときの母親(メリル・ストリープ)の性が乱れていて、「自分の父親候補が三人居て誰がお父さんか分からない!」と女の子が困る映画だが、ごちゃごちゃ言わずDNA鑑定しろと思った。あとメリル・ストリープはただのおばさんにしか見えず魅力が無い。クリスティーン・バランスキーという当時50過ぎの女優はエロいが、かといって別にキャラクターが浮き彫りにされているわけではなくただのスケベなおばさんになっているので残念。


0.5『ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』(2008/米)ジェームズ・D・スターン、アダム・デル・デオ

 マニア向け
 ミュージカル「コーラスライン」のオーディションのドキュメンタリー。マニア向けで、主人公がおらず散漫で、一般の人が観ても面白くない。


8.0『プリンセスと魔法のキス』(2009/米)ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ

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 ベタだが恋愛描写が丁寧
 蛙に変身した女の子が王様と結婚するおとぎ話で、身分制への批判意識はないが、カエル同士の心境の変化というか、男の片思いの雰囲気や、恋愛が発展していく模様は丁寧に描けている。ホタルのレイの片思いや死も切なくて良かった。


0.5『NINE』(2009/米・伊)ロブ・マーシャル

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 何が面白いのか
 フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』のミュージカル化で、私は『8 1/2』を2回観ているが、そもそも主人公の映画監督が悩みを吐露しながら女と戯れるだけのこの映画の何が面白いのかよく分からない。自意識過剰な新人作家のような陳腐な内容で、今時ミュージカル化して何の意味があるのか。


1.0『シャーペイのファビュラスアドベンチャー』(2010/米)マイケル・レンベック

 金持ちの社会勉強
 『ハイスクール・ミュージカル』の派生作品。金持ちの白人娘が、父親に「家賃や飛行機代を出すから自立できるか証明しろ」と言われるが、それは自立と言わないんじゃないかと思う。金持ちが下の階層の暮らしをしてみて社会勉強、という金持ちの余裕はまあムカつく。彼女が飼っている犬が別の犬と恋に落ちるが、とくに捻りもなく犬が一目ぼれしあって相思相愛になってなんなんだと思った。


8.0『塔の上のラプンツェル』(2010/米)グレノ、ハワード

 難癖をつけたくなるが面白い
 それぞれのキャラクターの性格がちゃんと描写されているし、細かいギャグも楽しめる。モテる盗賊が、ラプンツェルのだけはなかなか落とせないのも面白い。ただ、王国が平和ボケしているというか、「王国から犯罪が消えた」とラストで出るが人間がいる限り悪事はおこるからそんな訳はない。また、王様や王女の人柄が良くて人々に支持されていることも強調されるが、王国(君主国)である限り人を生まれで差別する社会であることにかわりはない、とついつい付け加えたくなる。


2.0『バーレスク』(2010/米)スティーヴン・アンティン

 アギレラが好きな人向け
 歌手になる夢を追いかけているクリスティーナ・アギレラがクラブで働き始め成功するが、今時こういうルートでスターになる人が居るのか疑問である。物語やキャラクター造形に工夫があるわけではないので、アギレラが好きな人向けの映画にとどまっている。


8.5『フィニアスとファーブ/ザ・ムービー』(2011/米)ダン・ポベンマイヤー

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 平行世界の姉が格好いい
 「ジョージアオキーフ」や「実存主義哲学者」などインテリ受けを狙ったギャグは鼻につくが、結構笑えるし、女の子やカモノハシの造形は可愛い。ひょんなことから主人公たちは異次元の抗争に巻き込まれるが、平行世界に居る姉が知的で勇敢で、時に大人として非情な決断をくだすのは良かった。ただ、バトルシーンが長く食傷気味になった。


7.0『ハッピー・フィート2 踊るペンギンレスキュー隊』(2011/豪・米)ジョージ・ミラー

 前作のほうが面白い
 『ハッピー・フィート』の続編。まあまあ面白いのだが、流氷によって餌場のない場所に閉じ込められたペンギンたちを救うために、ほかの動物が種を超えて力を合わせる、というのはユートピア的でリアリティがなく入り込めなかった。餌場がなければペンギンたちは雛を食べたり共食いしそうなものだが。まあエンターテインメントだからいいのか。


3.0『ザ・マペッツ』(2011/米)ジェームズ・ボビン

 マペッツを知っている人向け
 マペッツに憧れている人形の男児が主人公という、ディズニーのセルフオマージュで、私はマペッツをよく知らないのであまり楽しめなかった。「よくこの映画予算あったな」とメタ的な視点のギャグが多くそれも笑えなかった。ところで、主人公の彼女メアリーが、児童を相手に車を直す授業をしているがよく分からない。車会社がスポンサーなのだろうか。


1.0『フットルース 夢に向かって』(2011/米)クレイグ・ブリュワー

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 なぜリメイクしたのか
 『フットルース』(1984年)のリメイクで、1984年版よりは僅かにマシだが、若者が度胸試しでトレーラーで無茶なレースをするなどやはり不愉快である。なぜリメイクしたのか。


1.0『アンコール!!』(2012/英)ポール・アンドリュー・ウィリアムズ

 老人を苛めている
 老人ホームに入居する老人たちが合唱コンクールに出ようと頑張る話だが、介護士たちは老人に若い世代の曲やセックスについての歌・ヘビメタ・ロックを歌わせるので、悪趣味だしスベっている。また、主人公の老人は頑固な男なのだが、何かあるたびに介護士や家族に自らの考えが古いことを批判され、喫煙を注意され、「生きづらそうね」と言われるさまは、苛められているようにしか見えない。いくら頑固な老人とはいえ、一方的に彼を批判するのはフェアプレーではないし観ていて嫌な気分になる。


0.5『カルテット!人生のオペラハウス』(2012/英)ダスティ・ホフマン

 スベる上流階級
 引退した音楽家たちが暮らす老人ホームが舞台で、『アンコール!!』(2012年)と同じような話だが、あちらよりも人々の階級が上なので鼻につく。老人たちはわざとらしく性的で下品なワードを口に出すが、どれもスベっていて見てられない。
 また、80歳前後の老人たちが煙草を吸っているシーンで、介護士が「煙草は寿命を縮める」と喫煙を注意すると、別の老人が「今更縮まっても…」と反論する。すると介護士は反論してきた老人に「あなたは公害だわ」と言い放つのだが全く意味が分からない。反論にもなっておらず、ただの侮辱である。そうやって老人を苛めることで老人はストレスで死んでしまうのではないか。その一方、中盤で老人が車を運転したり、ひいては飲酒運転をするように読めるシーンがあるが、鉄の塊を老人が運転する方が明らかに危険で悪いのにこれはお咎めなしだから狂っている。


0.5『愛と誠』(2012/日)三池崇史

愛と誠 コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

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 愚劣
 原作の漫画は未読。1972年の高度成長期の日本が舞台で、不良の男(妻夫木聡)がモテる一方で、真面目な生徒(斎藤工)は「ガリ勉メガネ」と馬鹿にされ続け全くいい思いができず、不愉快極まりない。歌のシーンもダサく、高度経済成長期や昭和の時代が好きな人達が作ったオナニー映画でしかない。最初と最後がアニメーションであるのも意味が分からない。愚劣。


1.0『ロック・オブ・エイジズ』(2012/米)アダム・シャンクマン

 ロック・プロパガンダ
 政治家や中年の女性を悪者にすればいいだろ、という程度のロック・プロパガンダ映画。これを見てロックが好きになる人はいるのだろうか?


2.0『レ・ミゼラブル』(2012/英)トム・フーパー

 原作を知っている人向け
 長編小説を無理に一本のミュージカルにしているので、多くの重要なシーンが省略されており、原作を知らない人は楽しめないというか理解ができないのではないか。原作小説(ユーゴー著)は長いが、その分登場人物たちの心の動きを丁寧に描写しているからこそ面白いのである。原作を知っていないと視聴しても意味が無さそうである。


1.5『ピッチ・パーフェクト』(2012/米)ジェイソン・ムーア

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 応援する気にならない
 女子大学生がアカペラの全国大会を目指す映画だが、ポルノのような直接的なエロ描写が多く、またゲロが映るなど気持ち悪い。キャラクターが多くて分かりづらいし、アジア人の扱いも悪いし、このアカペラチームを応援しようという気にならない。


1.0『ティーン・ビーチ・ムービー』(2013/米)ジェフリー・ホーナデイ

 良識を疑う
 ラブラブの10代のカップルでビーチで体を触ったりしてるシーンから始まるのでまず怒りを覚える。海の向こうから荒波がやって来たとき、波に「乗らなきゃ」とワクワクしていて良識を疑う。二人は波に飲み込まれて(ざまあみろ)1960年代の世界にやってくると、サーファーとライダー(暴走族)の対立に巻き込まれるが、私はどちらにも関心がないのでそんな抗争はどうでもいい。男が不良のライダーの姿を「かっこいい」とか言っているが馬鹿である。
 

2.0『サンシャイン/歌声が響く街』(2013/英)デクスター・フレッチャ

サンシャイン♪歌声が響く街 [DVD]

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 父親に恨みはないのか
 スコットランドのバンド、プロクレイマーズが1988年に発表したアルバムの曲を元に作られているが(公式HPより)、曲に沿った物語展開なだけで退屈である。老夫婦・その娘・その弟の3組のカップルとも女が男を誤解し、観客は「男が可哀想だ」と誘導されるので女性蔑視のきらいがある。また、隠し子の女と父親との間で全く葛藤がなく仲よさげなのはおかしい。彼女は隠し子という身の上で辛いこともあったであろうに、父親に恨みを抱かない方が不自然である。美談のようになっていて気味が悪かった。


6.0『はじまりのうた』(2013/米)ジョン・カーニー

 面白いが酒に溺れる男に魅力を感じない
 シンガーソングライターのカップルのバックボーンをしっかり描いているのでシンプルに恋愛ものとして楽しめる。「他の男を思って作った曲?」と、男が女の愛を疑ったりするのも面白く、全体的に女性蔑視はない。
 ただ、もう一人のメインキャストである、酒に溺れる落ち目の音楽プロデューサーには私はあまり魅力を感じなかった。彼の娘も登場シーンが多い割りに、何となくバンドに参加したら上手くいって…という都合の良いもので、成長の物語になっていない。


6.0『アナと雪の女王』(2013/米)、アニメクリス・バック、ジェニファー・リー

 ブロック経済か?
 アナはかわいいしエルサの陰のある所も美しいが、エルサはアナの元を早々に去るので、二人の間に交わされるやりとりが少なくドラマとして物足りない。また、アナがかなりの高さの崖から転落するシーンで、下が新雪だからフカフカで助かるなど冬山を舐めている演出がある。
 ところで、アレンデール王国はウェーゼルトン国と「今後一切取引しない」というオチだが、北朝鮮のような危険な国家に経済制裁を加える場合ならともかく、ブロック経済は戦争の危険を産むのでそれを肯定するかのようなラストは教育上好ましくないのではないか。


2.0『ジャージー・ボーイズ』(2014/米)クリント・イーストウッド

 この時代のミュージシャンが好きな人向け
 米国のバンド、フォー・シーズンズの経歴をもとにしたトニー賞受賞ミュージカルをイーストウッドが映画化したものであるが、いかにもミュージシャンが味わう成功と挫折だ、というだけでとくに印象深いシーンはなかった。フォー・シーズンズやこの時代のミュージシャンが好きな人向けの映画、というだけではないか。


4.0『セッション』(2014/米)デミアン・チャゼル

 ラ・ラ・ランド』よりマシ
 冴えない主人公ニーマンがジャズドラマーを目指して音大に通う物語で、デミアン・チャゼル監督はジャズに恨みがあるんじゃないかと思うほどフレッチャー教授に厳しい授業を展開させていく(このように、ジャズを恐ろしく描いていてジャズ愛が見えないためにジャズ・ミュージシャンの仲にはこの映画を酷評する人が居るのではないかと思うが、私自身にはジャズ愛はないのでどうでもいい)。もちろん、フレッチャーの苛めをいとわないやり方は度が過ぎていて見ていて不愉快である。ただ、アメフトをやってるスポーツマンと、価値観の上で喧嘩になるところは、体育会系が嫌いな私としては賛同できる。また、結局のところニューマンの恋愛は上手くいかないが、まあ「モテない人間がなにくそと頑張っている」と捉えれば、恋愛そのものを否定してなくて良いんじゃないかと思った。後述するが『ラ・ラ・ランド』よりマシである。


8.0『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(2014/英)スチュアート・マードック

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール 通常版 DVD

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 よく観ると深い
 冴えない眼鏡のバンドマンが、精神病棟を抜け出してきた少女に惹かれていくのが面白く、感情移入しやすい。人間のモテる・モテないというカーストが描かれているし、また社会への不満を歌にする主人公に少女が「あなたは今後10年社会にうんざりし続けるつもり?」と全うなツッコミをいれるなど、よく観ると深い映画である。
 ただ、一見まともな少女がどうして精神病棟に入院していたのか分からないし、無神論者だったはずの彼女がクリスチャンヒーリングを受けたのをきっかけに「祈り」を始めた、というラストはオカルト的で嫌だった。


1.5『踊るアイラブユー♪』(2014/英)マックス・ギワ、ダニア・パスクィーニ

 表面的な美男美女に感情移入できない
 米国の80年代のヒット曲が次々と歌われるなど、雰囲気は『マンマミーア!』(2008年)に似ているが、登場人物が多くそれぞれの人間性を浮き彫りに出来ていない。表面的な相思相愛の美男美女に私は感情移入などできない。


2.0『ラスト5イヤーズ』(2014/米)リチャード・ラグラベネーズ

 陰鬱で思わせぶり
 男に捨てられた女優志望の女が主人公で、彼氏の思い出をふり返るが、この彼氏は努力しているように見えないのにたまたま書いた小説がベストセラーになるなど馬鹿馬鹿しい。話に工夫がなく、ドラマチックでもなく、陰鬱で思わせぶりな時間ばかりが流れていて疲れた。


1.0『イントゥ・ザ・ウッズ』(2014/米)ロブ・マーシャル

 ゴチャゴチャうるさい
 シンデレラや赤ずきんなどの童話の主人公たちを集めて、主人公を決めないまま筋が展開されるがゴチャゴチャしてうるさい。元々の昔話がたいした話ではないのだから、それぞれの物語が絡んだからといって面白くない。


1.5『ジェームス・ブラウン ~最高の魂を持つ男~』(2014/米)テイト・テイラー

 何が最高の魂なのか分からない
 ホモの男は出てくるが女の主要キャラがなかなか出てこず、ジェームズ・ブラウンが女に恋するシーンも少ない。開始50分くらいしてジェームズ・ブラウンが女店員をクドくシーンが出ると思ったらすぐ結婚して、もう次には子供が居る。ジェームズ・ブラウンかこの監督が同性愛者なのかは知らないが、女が好きな私は見ていて楽しくない。また、冒頭からジェームズ・ブラウンはライフルを持って記者達を脅しに来たり、ドラッグをやって勝手に墜ちたりとどうでもよく、何が最高の魂なのか分からない。「男の運命はとめられない」とか「神の意志だ」とか宗教的なことを彼はよく言うが、無宗教の私にはピンとこない(そもそも「ソウル」(魂)というのが宗教用語で、魂は存在しないのだが)。


7.0『ANNIE』(2014/米)ウィル・グラック

 1982年版より面白い
 富豪の実業家ジェイミー・フォックス人間性をちゃんと描写しており、アニーと対比できていて面白い。ジェイミー・フォックスがアニーを引き取る理由もちゃんとアニーである必然性があり(車に轢かれそうになった彼女を救ったのでそのまま選挙利用をする)、リメイク前の『アニー』(1982年)より物語がちゃんと考えられている。最後の逃走劇でも、アニーはまた自分が選挙の宣伝に利用されているのではないかと疑うところは感情を揺さぶられた。
 ただ、アニーがませていて生意気すぎるのが鼻につき、魅力的に欠ける。また音楽も現代風に格好つけようとしすぎて耳障りになっている。


8.0『ディセンダント』(2015/米)ケニー・オルテガ

 ハイスクール・ミュージカル』より断然面白い
 今までのディスニー作品のキャラクターにもし子供が居たら、というディズニーのセルフカバーのような映画である。悪役の親と子供は性質が違うというメッセージは分かるし、フェアリー・ゴッドマザー(白雪姫を助けた魔法使い)の娘も、実は心に問題を抱えているなど面白い。イヴィという黒髪の女の子は頭が良くてかわいい。監督は『ハイスクール・ミュージカル』のケニー・オルテガだが、『ハイスクール・ミュージカル』より断然面白い。
 ただ、モテ王子ベンが良いやつ過ぎるのは嘘っぽくムカつくし、メインのカップル以外の恋の結末がどうなったのか最終的に分からないのでモヤモヤした。


2.0『味園ユニバース』(2015/日)山下敦弘

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 物語から逃げないでほしい
 ヤクザとつるんでいた主人公渋谷すばるは、強盗傷害で逮捕されていたが出所する。すばるは二階堂ふみがマネージメントを務めるバンドに参加することになるが、私には彼らがあまり魅力的な登場人物達だと思えない。すばるが出訴後ヤクザにボコボコにされそうになった時、なぜか二階堂ふみがその場に居合わせているが意味不明で、しかも渋谷を救い出してライブハウスに連れてきたシークエンスも省かれており訳が分からない。長いわりに物語から逃げた印象。


0.5『ラ・ラ・ランド』(2016/米)デミアン・チャゼル

 杜撰な映画
 女優の卵ミアとミュージシャンのセブはお互い第一印象が悪かったのに、ミアは彼がピアノを弾く姿に惚れて感銘をうけるのはおかしい。ミアの中には嫌な男を好きになりたくないという葛藤が起こるはずであるが、心情の描写が丁寧でない。しかも彼女は先に「ジャズが嫌い」と発言していたので尚更である。ミアの心境がどう変化して男やジャズを好きになったのか、描写するのを一切怠っている。その後二人は付き合うことになり、表面上は楽しそうだが、ミアから別れ話を切り出す。しかし、二人の間にはたいした事件が起っていないので、なぜ別れないといけないのか観客には分からない。監督らの「女の方から愛を裏切る」という女性蔑視を表現したかっただけではないか。それだったら監督は男を主人公にして話を作れば良いのに、中途半端に女を主人公にするから女性への価値観が歪んだ作品になっている。
 その他、昔のミュージカル作品のいいとこ取りをしてオマージュしようとして、急にダンスになったり空を飛ぶファンタジーになったりと統一性がなく、杜撰で寒い。概してキャラクターに元気がなく、感情を揺さぶられないので、見終わったあと何も残らない。
 それにしても、ジャズクラブで誰も煙草を吸ってないのは怖い。


0.5『マダム・フローレンス!夢見るふたり』(2016/英)スティーヴン・フリアーズ

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 権力に擦り寄る人々を肯定するくだらない映画
 実在した音痴の金持ち老女、フローレンス・フォスター・ジェンキンスが主人公だが、下手な歌を聴かされるだけで映画にするに値する人間ではない。裸の王様のように「婆さん、お前はヘタだ」と周りが言ってあげないとダメなのだが、誰も本音を言わないのは婆さんが金持ちだからである。人々が金や権力に擦り寄ることを肯定するくだらない映画。


5.0『モアナと伝説の海』(2016/米)ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー

 政治的に間違っていないが退屈
 お姫様ではなく村長の娘であるモアナは、楽園とうたわれる自分の島にウンザリしている。この映画は概して冒険を肯定する内容で、『オズの魔法使』や『青い鳥』と違って女性を家庭に閉じ込める意図がないから良い。しかし、その冒険をともにする英雄マウイの性格が意地悪で、不細工なくせにモテ男のように女に自信満々に振る舞うのには違和感がある。不細工ならもっと女に優しかったり惚れやすい性格にすればいいのに、全然感情移入できなかった。また、冒険自体も別に捻りのあるものではなくて、メッセージ性は政治的には間違っていないが、内容は退屈で期待外れだった。


7.5『SING シング』(2016/米)ガース・ジェニングス

 面白いがお人好しすぎる
 コアラのバスターは劇場を建て直すために賞金1000ドルで歌のオーデシションを開催するが、手違いで賞金10万ドルと印刷されたポスターを配布してしまう、というドタバタ喜劇。内気なゾウの女の子(声はMISIA)、男に浮気されるハリネズミ、自分より体の大きい動物にきつく当たるネズミなどキャラクターがどれも面白いので単純に楽しい。
 ただ、バスターは結局賞金を用意できず舞台は流れ劇場まで潰すのだが、そんな彼にオーディション参加者が同情して劇場の再建に奮闘していく様には違和感を覚える。そこまでバスターに同情するほど参加者との間で友情や信頼関係が芽生えるシーンが無かったからである。参加者はお人好しすぎるというか、「騙された!」と訴訟を起こす動物が居てもいいくらいである。また、バスターは元々洗車屋の息子だという設定もそうなのだが、動物が誰も彼も車を乗り回していて、危険運転もしちゃったりして、車社会を大々的に宣伝しているように見えて気味が悪かった。そんなに排気ガスをまき散らしながら煙草は吸わないのだ。


2.0『美女と野獣』(2017/米)ビル・コンドン

 アニメを観ればいい
 アニメが十分面白いのだからわざわざ実写化する必要があったのか疑問である。アニメより40分ほど長いが、野獣が最初からそれほど怖くないためにギャップが演出できておらず、またガストンの手下ル・フウが洗練されているなど下品な描写も無くなっている。あと人種に配慮しているのか黒人俳優が当然のように居るが、だったらアジア人の俳優も出してほしい。


参考文献

・土肥恒之『ロシア・ロマノフ王朝の大地』講談社学術文庫、2016年
ジョン・バーンズ『エビータ』牛島信明訳、新潮文庫、1996年
・藤えりか『なぜメリル・ストリープはトランプに噛みつき、オリバー・ストーンは期待するのか ハリウッドからアメリカが見える』幻冬舎新書、2017年