大類浩平の感想

匿名(氏名非公開)の人の議論には応じない場合があります

無視されるヤクザの存在

 コカインや大麻など、違法とされているドラッグを使うのは良くない。国内外のヤクザ・マフィアなど反社会勢力に資金がいくからである。だから、「コカインや大麻をやっても誰にも迷惑をかけてないからいいじゃないか!」という主張は退けられる。ヤクザに資金を提供すること自体が社会への迷惑だからである。禁酒法下の米国では、違法に酒を取引したマフィア達が莫大な資金を成したことで知られる。ちなみに脱法ドラッグも私は同じ理由で反対である。ドラッグのニュースになると、ドラッグ反対派も賛成派も、なぜかヤクザの話を出さない。ヒッピー文化に影響を受けたような、ドラッグに肯定的でかつ左派系・リベラル系の知識人は、ドラッグを規制する側を批判してもヤクザ・マフィア批判をしない。正義を論じる人こそ反社会勢力を批判するべきではないのか。逆に、電気グルーヴのCDを回収したレコード会社も、ピエール瀧が麻薬取締法に違反をしたことを反省しているんであって、直接的にヤクザを批判しているわけではない。ヤクザ嫌いの私は常々疑問である。
 ところで、コカインや大麻はそんなに害がない、という主張は理解はできる。実際、立派な合法ドラッグである酒は、アル中やDVや飲酒運転を引き起こす。酒よりは害がないのかもしれない。ただ、だったらコカインや大麻が合法化されるように、正々堂々と社会運動をすればいいのである。コカインや大麻が違法な世の中でそれらを吸って、反社会勢力に資金を与えてるようでは、私は何の共感もしないし、応援する気にならない。私は、違法ドラッグをやっている人間を英雄視できない。
 あと、電気グルーヴのCDがレコード会社によって回収されるということが起こった。私は、ドラッグで逮捕された人の作品は回収しなくていいと考える。電気グルーヴのCDをいくら買ったって、ヤクザにお金がいかないからね。ただ、CD回収なんてけしからん!とネットで大勢で反射的にレコード会社を批判している人達と共闘しようとは思わない。私と彼らが、「ヤクザは良くない」という前提を共有している自信がないからである。「ヤクザは良くない」ということが踏まえてある批判じゃないと、確実に私と決裂する。もっと言うと、そもそも反射的に社会問題を批判する人と共闘しようという気にならない。社会のダメな所、クソな所というのは、とっくに前もって分かっていることだから。政治家の失言も、賄賂や脱税も、性差別・人種差別も、凶悪殺人やレイプも、今に始まったことではない。これからそういう問題をどう解決していくか、と冷静に議論なりしていけばいいのであって、「こんなに酷いことがあった!!!!」と騒ぎ立てても意味がないのである。それらが酷いことなど、言われなくてもとっくに知っている。
 ちなみに、「レコード会社は電気グルーヴのCDは回収するのにビートルズやジミヘンやジャニス・ジョプリンのは回収しないのか!」という冗談めいた主張がある。これは反論にはなってない。時効があるからである。ビートルズやジミヘンやジャニス・ジョプリンがドラッグをやっていたのはとうの昔である。もっとも、もし今この瞬間にポール・マッカートニーリンゴ・スターが違法薬物をやっていたら、レコード会社はビートルズのCDを回収しなければ筋が通らない。レコード会社にその勇気はあるか?